2013年06月04日

スーパードクターK 真船一雄 第1巻 カルテ5◆心臓を狙われた男A

手術室にて前回からの続き。

心臓手術なので、まずは開胸からです。

「よし・・・・胸骨開創器!」と手際よく手術は始まります。

元主治医も別室でモニターを見ながら、

「ウ・・ム すごい・・・・うわさにたがわず信じられない程のメスさばきだ・・・・」

「たばこ」を吸いながら感心しています。

まだ肝心の心臓にすら手が届いていないのに、何が分かるのかと思う人もいるかもしれませんが、術者の腕前はその準備段階で分かると言われています。

「皮膚切開を見れば腕が分かる」というベテラン医師も実際にいます。
皮膚の厚みは数ミリですが、うまく切れば血があまりでませんし、綺麗に切れれば縫合した時に綺麗に治りますので、あながちバカにはできません。

Kには「たばこ」を吸う医師がよく出てきますが、今でこそ院内禁煙も当たり前ですが、この時代では医師の意識レベルにもそんなもんだったという時代背景が見えます。

そして、いよいよ心臓が見えます。
高品も心臓は専門外ではありますが、

「これ程の重度の冠状動脈疾患でこの高齢では・・・・移植しか助かる道はないだろうか・・・・」

と心臓移植に半ば納得の様子です。

しかし・・・・

Kはこの手術が別室でモニターされてる事は当然知っていますので、高品にカメラの前に立たせて術野を隠します。

そして、第二モニターのカメラも無影灯で邪魔をさせて隠します。

これで何をやっているかは手術室内の人間にしかわかりません。

さてKは何をやろうとしているのか・・・・

橋爪も「くさいぞ・・・・あの医者何を考えてる・・・・」と不信感を露にします。

高品はというと

「やっぱり この人はただ者じゃない!」と感心するだけです。

そして、無事に手術は終了。

大河内老人の心拍も安定し、元主治医も心電図を見て手術の成功を確信します。

桑田青年も心臓を取り出されてしまったので、心拍、脳波ともにフラットで「もうただの屍体だ」とKも断言します。

元主治医もそれを確認し、三千万をKに渡すのでした。

Kは「その屍体は引き取りたいのだが・・・・」と言い、橋爪もその桑田には用なしなのでご自由にと快諾します。

「ただし!表沙汰にならぬように・・」と念を押して。



実は、まだ桑田青年は生きていたのでした。

最低限の医療機器を積んだ車にて寺沢病院に運ばれていきます。

Kは脳波がまだあるので、桑田青年を助ける事を諦めていません。

脳内血腫の除去を急いで始めます。

スタッフの準備も整っていたので、高品がKから電話で話を聞いていた時から準備していたのでしょう。

Kは躊躇無く、脳外科手術を行っていますが、診療科目が細分化した現在では、専門外の箇所を切れる技術を持った外科医というのは少なくなっています。
ましてや脳外科手術は命に直結する部位の手術ですので高度な技術を要します。

高品も「最も複雑な脳外科の技術ももっているとは・・・・」と驚きを隠せません。

Kは全身を診て診断と治療ができる「全身科医」だったのです。

「ジェネラリスト」とも呼ばれては居ますが、日本ではあまりいない医師です。

開業医の医師であれば、多少の専門外の部位を診たり治療したりする事もままありますが、完璧ではありませんので、そのような技術を会得するのは通常の勤務医や開業医には実質無理と言えます。

そして、三ヵ月後、

深夜の往診を大河内邸にて行うK。

大河内老人も回復ぶりを非常に喜んでいる様子です。

「なにせ二十歳の若者の心臓が入ってるんですからなぁ!」

と自分が心臓医移植を受けた事を微塵も疑ってはいません。

そして、

「ようやくこれで職務にもどれる・・・・大河内復活じゃて!」

と野心を露にします。

「いやあ三ヶ月の間お世話になりましたな そちらの助手の方にもこの大河内・・・・礼を言いますぞ!」

一応の礼儀はあるようです

最後の往診日まで、いつもマスクをかけていたのが不思議だったのか、助手の顔を見たいと言い出します。

そして、帽子とマスクを取り顔を見せる助手・・・

それを診て大河内老人は絶叫します。

「お前は・・・・死んだはずの桑田・・・・!?」
「そんなバカな・・・・お前が生きているはずはない・・・・」
「お前の心臓は・・ワシの体の中にあるはずだあ――!!」

自分に心臓を提供する為に死んだと思っていた者が目の前にいるのですから、その恐怖は半端ではありません。

助手であった桑田青年も大河内老人の手を自分の胸に当てさせて心臓の音を感じさせます。

それが、トドメとなり、大河内老人の心臓は停止してしまうのでした。

橋爪がその騒動を聞きつけて確かめますが、心臓は確実に停止しており、死亡確認完了です。

橋爪も手術後に心電図を確認していましたので、桑田青年が生きている事を不思議に思います。

Kはその種明かしにゴムシートを見せて絶縁体のゴムシートを心電図の吸盤に挟んでモニターに心拍が伝わらないようにしていた事を明かします。

針金も用意させていましたが、傷口の偽装にでも使ったのでしょう。

橋爪はそのチャチなトリックに騙されていた事と三千万もの大金を取られた事で銃を取り出しKを殺そうとします・・・

それをKは足で払いのけて、

「きさまぁいったい何者なんだ・・・・!」という問いに

「オレは・・・・医者だ!!」
と言いながら橋爪の顎を殴り砕き、
「人間を治す医者だ!人の生き血をすするケダモノ以下のクズ共は・・・・オレの専門外だ!!」
と吐き捨てます。

そうです、心臓が止まったとはいえ、すぐに処置をすれば助ける事は充分にできたはずなのです。
しかし、救命処置をしなかった理由がそこにあったのでした。

そうして大河内邸を去った後で、Kは桑田青年に

「ここに三千万ある クズ共の汚れた金だが人生をやり直すにはたりるだろう」

と言って、報酬として受け取った金を全額渡すのでした。

結局この手術と治療ではKは一円の報酬も得ていません。
かろうじて桑田青年を手術した事での報酬はあったと思われますが、それは寺沢病院の保険適用の正規の手術料であり、三千万に比べたら端金ですねぇ・・・

大河内老人は変死扱いにでもなったのか、解剖に回されます。

Kが治療に携わっていた事も大河内老人が手術を受けた事も表沙汰には一切なっていませんので、解剖に回されたのは当然だったのかもしれません。

元主治医も解剖に立ち会っていますが、冠状動脈疾患で死んだのではなく、ショック死という検案に疑問を持ちます。

監察医のみたてでは冠状動脈疾患はきれいに治っているという診断です。

Kはこの老人の心臓をきちんと治していたのでした。
しかも、心臓を動かしたままのバイパス手術という高難度の技術によって。

「大河内老人の苦悶の表情をみて、よっぽど恐ろしい思いをしたんだろうな」

「さあ・・・・幽霊でも見たのかもしれんよ」

という監察医と元主治医の会話で終了です。


心臓移植と心臓を狙われた青年という現代でもありそうなストーリーではありますが、よくみると、他の素人はともかく、元主治医があっさり騙されすぎているのが目に付きます。

心臓を取り出す際は胸の中心を切開し、胸骨をノコギリで切断して心臓にアプローチする訳ですが、移植される側も同じような切開を必要とします。

しかし、手術痕は肋骨を開く際に出来る左胸にしかありません。

これでは心臓を無事に取り出すのはかなり面倒なはずです。

大河内老人は人工血管で冠状動脈バイパス手術を受けていた事が解剖で明らかになっていますが、冠状動脈のバイパスに使える人工血管はこの当時はもちろん、現在でも研究段階であり、実用化には至っていません。

現在Kが手術するのであれば、胸の内側にある内胸動脈を使ってバイパス手術を行っていた可能性もあります。

バイパス術に用いられる血管は内胸動脈、橈骨動脈、右胃大網動脈、大伏在静脈が一般的ですが、取れる血管の数は限られている為、再手術の際には血管の確保が難しくなる場合もあり、人工血管の開発が急がれているのですが・・・

このようにたまに超技術とも言えるようなものが出てきますが、物語の核心には影響ありませんので、スルーしましょう。

posted by しりうすぅ at 12:40| Comment(0) | スーパードクターK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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