2013年06月23日

スーパードクターK 真船一雄 第1巻 カルテ7◆復活への闘志

手術室にて前回からの続き。

「大谷!」
「オレがもう一度バレーボールができる体にしてやる!」

というKの決意表明から始まります。

逆巻助教授は城南大にやってきた事を喜んでいますw

橋爪はいかにもヤクザ風の黒服・サングラスの漢達を招集し、K抹殺に向けて動き出します

手術室ではそんな事はどうでも良い風に淡々と手術が始まります。

「念のため輸血を準備しろ!!」
「右前腕部接合術!」
「切断肢をこっちによこせ!」

とKは的確に指示を出しながら手術準備を始めます。

他の医師達は
「しかし・・・・見れば見るほどひどい・・・・やっぱり切断術に切りかえた方がいいんでは・・・・」
と接合を諦めていますが、

Kは接合手術に微塵の迷いもありません。
「この男はバレーボールなしでは生きられぬ男だ」
「よって・・・・バレー選手として必要な筋肉 腱 及び神経を最優先に接合する!」
と術式を説明します。

実際の接合術でも細い腱の場合は全ての腱を繋がなくとも、同じような働きをする太い腱がありますので、必ずしも全ての腱を繋ぐ必要は無いとされますので、スピードを優先する場合には適切とも言えます。

術式を説明しても他の医師達は押しつぶされてぐちゃぐちゃになった患部を見ていますので、

「かといっても・・・・どれがどの腱なのかさっぱり分からん!!」
「バレーなんかできるようになるわきゃないじゃないか!!」

と接合が不可能であるという主張を曲げません。
これも普通の医師なら無理からぬ事です。




前腕部は骨が尺骨と橈骨とに別れていて接合がそれだけ困難になる
特に指先に指令を送る腱が複雑に入りくみ集中している場所・・・・それが前腕部なのだ


と解説も入ります。

Kはそんな他の医師達のたわごとには耳をかさずに、黙って見ていろと言い放ち手術を開始します。

駆血帯で腕を締め付けて出血を抑えて骨を金属プレートとネジで止めていきます。

骨を繋げたら、指の先までを曲げる重要な筋肉である深指屈筋を接合し、次は指先のデリケートな動きを可能にする、指の第二関節までを曲げる浅指屈筋接合、次は長母指伸筋接合・・・

潰れてる筋肉、腱をなんのハンデにもなっていないかのごとく全ての腱がどの腱なのかを正確に判別して繋いでいきます

そうしてバレー選手に必要な腱どころか全部つないで他の医師が奇跡と言わしめるほどの腕前で接合術を終わります。

「い・・いったいどこを縫合したのか 全然わからなくなってしまったぞ・・・・」
「バレー選手に必要な腱どころか・・・・全部繋いでしまったじゃないか!!」

と他の医師は感嘆しまくりです。

手術が終わってしばらくしてから・・・
橋爪達が乗り込んできます。

「病院の出入り口はすべて封鎖しろ!」
「Kをこの病院から一歩も外へだすな!!」

「弾丸を点検しておけ!」
「やつをあなどるなよ!!」

「追いつめたらオレに連絡しろ!」
「とどめはオレがさす!!」

橋爪も殺る気満々ですw

しかし・・・

逆巻にKの居所を聞いた橋爪は肩透かしを食います。

Kは橋爪達が駆けつける二時間ほどの間に切断肢の接合術を完璧に終えていたのでした。

「やつは大谷とかいうバレー選手の切断した腕の接合術をしているのだろうが!?」
「切断肢の接合術が二時間やそこらでできるわけが・・・・」

逆巻に掴み掛かりながらも、Kが神業のメスをふるう事を失念していた事に橋爪も気付きます。

手術によって腕が繋がった大谷のもとにはオリンピック強化委員のおっさんどもが駆けつけます。
見舞いではなく、自分らの利益しか目に無いオヤジどもです。

大谷が手術が完璧に終わったと説明しても、バレーが元どおりに出来るとは全く思っていない口ぶりで怒鳴り付けて出て行っただけなのでした・・・

「活躍している時はちやほやしてケガしたとたんこのザマだ」

と大谷も呆れています。

しかし、「五輪まであと4か月だってのに・・本当にオレはまたバレーができるのか?」と自信がある訳でもありません。



一ヶ月経った頃にようやくギプスが取れます

そこへKから小包が届きます。

見舞いの品かと思って箱を開けてみるのでしたが、中身は手紙と古雑誌といくつかのボールのみという訳の分からない品物。

手紙にはそれを使ってのリハビリを指示する内容が書かれており、それをこなせば必ずバレーができるようになると書かれていました。

内容物
1、ソフトボール大のスポンジボール
2、1よりやや小さいスポンジボール
3、空気を抜いた軟式テニスボール
4、普通の軟式テニスボール
5、硬式のテニスボール
番号順にだんだん空気圧が高く、大きさが小さくなっているボールです。

ギプスが取れて最初の一週間
1のボールを一分一秒たりとも手から離さず一日500回以上は力を入れて握り続ける

次は送った古雑誌をつかむ練習
一日500回以上!
あくまで指をのばしたまま握る事
その本も徐々に本を薄く重さを増していくこと


大谷もその意味が分からないながらもリハビリを始めるのでした。

しかし、一度切断された腕の握力はほぼゼロになっており、第一段階の一番でかくてやわらかいボールも握れません

そんな自分の腕の状況に落ち込んでるところへ、助けられた子供が見舞いに来ます。
大怪我をさせた事を謝る子供でしたが、無事にくっついた腕をみて安心するのでした。

そして、大谷も「オレのやったことはまちがっちゃいなかったな」と立ち直ります。

Kは医療漫画ではありますが、手術描写だけでなく、このような心理描写も秀逸です。

絶対復活してみせると助けた子供に誓う大谷でしたが、オリンピック強化委員のオヤジどもは単調な訓練を繰り返す大谷を見て他の選手を見つけなくてはと頭を抱えます・・・

そして二ヵ月後全ての段階のリハビリを終えた腕をみて、理学療法士も

「切断してからまだ二ヶ月だっていうのにこれほど握力の回復が早い人ははじめてみますよ!!」
「その証拠にほら・・・・」
「指を曲げて指先がてのひらにつくというのは切断した人にとってはすごいことなんですよ!!」

とKの指示したリハビリは特別なリハビリをしたのかと専門家が驚くほどの驚愕の効果をあげたのでした。

しかし、切断した方の腕は腫れており、四六時中患部がうずくという完治とは言えない自覚症状があるのでした。

そこにKが現れます。

大谷の回復ぶりを見て、「オレの指示は守ってきたようだな」とつぶやきます。

「なあ!これは握力を増すためのトレーニングなんだろ?」

と大谷が聞きます。

「正確にはボールを握ることによって、そして指をのばして本をつかむことによって屈筋を鍛えるためだ!」

と説明します。

大谷は握力の回復は実感するものの、しびれがあり、腫れて重苦しい腕では魂の入ったスパイクは打てねぇ・・・・
このままじゃダメなんだ!!

とKに訴えます。

Kは「そんなことだろうと思ってな今日はそれを治しにきたんだ」と腕を繋いだだけでは完治しない事を見越していたのでした。

「その腕のしびれは切れた神経がうまくつながっていない証拠なんだ、そのつなぎ目のパルス(震動)を今とってやろう」

と???な説明をします。

腕のつなぎ目を両手で掴み

「わかる わかるぞ 神経のパルス(電気刺激でおきる拍動)を感じる・・」

神経のつなぎ目が正常ではない・・・・
異常放電が起きている・・・・

人間の体からはいつもある程度の電気が放電されている
Kはこれを利用してパルスを正常にしようとしたのだ――

この辺の説明と治療はK一族の秘術のようなものです。
人間の体の全てを知り、自分の能力を全て引き出せるK一族だからこそ出来る技です。

そうして、治療が終わり、大谷の腕は完治したのでした。

そこへ一発の銃声が・・・

Kが狙撃されたのでした。

病院を張っていた橋爪達の仕業です。

以下、次回に続く。

これは良いヒキで終わっています。
このような上手な展開は昨今の漫画にはあまりありません。
人気があれば作者が安心しきって、ダラダラ続くというような緊張感の無い展開にはうんざりします。

posted by しりうすぅ at 23:05| Comment(0) | スーパードクターK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月08日

スーパードクターK 真船一雄 第1巻 カルテ6◆五輪に賭けた右腕

新日本バレーボール男子リーグを観戦するマントの男
傍目からは完全に不審者ですw

東フィルム所属の大谷選手がスパイクを決めて完全優勝を決めます。

「決まった――!!ゲームセット東フィルム完全優勝――!!」

と実況も熱が入っています。

人気 実力ともにNo.1 大谷定久 彼がいればオリンピックでもメダルが確実

日本が久々に世界にほこるエース・アタッカー大谷定久!!

と評価も非常に高い選手です。

応援の女の子達の騒ぎぶりも凄い様子。
どんなスポーツでもそうですが、ルールなんか何も分かってない選手個人のファンでもいるだけで盛り上がるので実にありがたい存在です。

高見の見物をしている五輪強化委員のオヤジどもも一安心の様子。

そんな女の子達の相手をしながら、大谷がマント姿のKを見つけます。

肩を掴んで、

「KAZUYAじゃねぇか!!」

と会えた事を喜んでいます。

「お前の勇姿を一目・・・・見ておこうと思ってな・・・・」

とKも意味深な事を言っています。

大谷とは親友だったようで、Kが表社会から消えた当時の事も知っているようです。

「しかし・・・・心配したぜ 突然 姿をくらますなんて・・・・しかも このオレに一言もなしでなんてよォ!」

と消えた当時から心配していたようです。

Kのオヤジが死んでいる事も大谷との会話で初めて明らかにされますが、深い事情までは現時点では不明です。

大谷は当然のようにどこの病院に勤務しているかを聞いていますが、

「いろいろあってな・・・・表立って医療活動ができぬのだ・・・・」

と、あまり事情を言いたくないような感じでKが話しはじめます。

大谷もそれに疑問を持って「なぜ!?」と聞き返しますが、すぐに追っ手が掛かり、

「オレの移植術のウデをねらってな・・・・ハイエナ共が群がってくる・・・・」

と裏社会で臓器移植のプロフェッショナルという評判が知れて自分の延命の為に群がる患者はハイエナでしかないと迷惑気に事情を話し始めます。

大谷も城南大の大河内学長の心臓移植の噂を聞いていたようで、Kもそれについて説明をします。

「手術とは関係なく結果的に大河内は死んだ」

と重要な事は端折っていますが、救命処置をしなかったKは結果的に殺したも同然です。

そして、城南大系列のとりまき連中はKを殺す為に血眼になって探してるという事情も語ります。

「この日本にはオレのオペの腕どころか 命までもねらってる連中がわんさかといるわけだ・・・・」

と。

城南大では橋爪が殺意を露わにしてKを探してる様子が描かれます。

「大河内学長を殺し・・・・我が城南大の権威を著しくおとしめたやつを・・・・Kを殺せ!!」

と怒り心頭の様子です。

大谷は昔からてめえのことはてめえでケリをつけてきた男だとKを理解していますので、もう何も聞かないと言って、事情も察して別れます。

Kは「ケガでもしたらオレを呼べ治してやるぞ」と軽い口約束を交わします。

大谷は「一生おめえの世話なんかにゃならねぇさ!」と自身ありげにこたえます。

大谷は城南大には情報網も無数にあり、どんなものでも意のままにしなくては済まない城南財閥がついているので、やつらの目をかいくぐるのは難しいと非常に心配な様子で見送ります。

なぜそんな裏事情に詳しいのかという突っ込みは無しで。

オリンピックに出る決意を強くし、線路脇をの道をランニングする大谷でしたが・・・

線路脇のフェンスに集まって何か騒いでる人がいるのに気づき声を掛けたのが・・・

向こう側の土手からすべり落ちた子供が線路に横たわり、電車が来ているのが見えます。

大谷はとっさにフェンスを飛び越えて子供を助けに向かいます。

「な・・・・なんだ!?すげえジャンプ力・・・・!!」
「あれは・・・・バレーの大谷だ・・・・!!」

と集まっていた人達もすぐに気づきます。

そして、子供を助けるのに成功し・・・

「や やった!」
「間一髪・・・・さすが運動選手・・・・」

と驚きと感動の声があがります・・・

しかし、フェンスに何かが飛んできてぶつかります。

それは・・・

ちぎれた大谷の右腕なのでした。
間一髪電車に轢かれずに済んだものの、その代償はあまりにも大きいものとなりました。

大谷の脳裏にもそれを伝える新聞記事の見出しが浮かびます。

それを知った五輪強化委員も大谷ぬきではメダル取り計画も絶望と頭を抱えてしまいます。



城南大付属病院に運ばれた大谷でしたが、集まった形成外科医達は切断された腕を見て切断面があまりにも酷すぎて、たとえ接合しても役に立たないと匙を投げます。

腕の筋肉は

手首を背屈する筋、親指を背屈する筋、指 手首を伸ばす筋、手首を掌屈する筋、指を曲げる筋

背屈・・・手指を甲側に曲げる事
掌屈・・・手指を掌側に曲げる事

と複雑に組み合わさって構成されているので、ちぎれた場合は接合が複雑になり難しい事の説明がされます。

大谷も

「ヘヘヘ・・・・これでオレのバレー人生も終わりってわけか・・・・」

と完全に諦めてしまいます。


しかし、そこに現れたのがKでした。
どこでそんな情報を得たのか非常に不思議なのですがw
事故から数時間も経ってないのにどこの病院に運ばれたのかも把握しているとはただ者ではありません。

流石は裏の医師。
独自の情報網もしっかりしているようです。

しかし、そこにはKを知ってる逆巻助教授もいたのでした。
そう、Kに殺された(そう思い込んでる)大河内学長の元主治医です。

血相変えて連絡したのは言うまでも無く、橋爪です。

大谷は

「ここは城南グループの病院だぞ?とっとと逃げろ・・・・!!」
「早く!!」
「おめえは追われてんだろ・・オレなんかの手術をしたら・・・」

と言いますが、Kはそんな事は気にしません。

他の医師は切断面が酷すぎて接合してもハシも持てないと完全に諦めているのですが。

「もう一度バレーができる体にしてやる」
「オレを信じろ!!」

と自身ありげに宣言します。


逆巻助教授は橋爪に急いで連絡します。

「Kがまたこの城南大に現れたんです!!」

「そこにいる?また城南大に顔を出すとは何を血迷ったか・・・・」

橋爪にとっては宿敵のKが城南大に現れたのは飛んで火にいる夏の虫という感じです。

橋爪は足止めを指示します。
橋爪の左頬はKに殴り砕かれた際に手術した傷跡があります。

「フフフフやっと見つけたぞ・・・・しかも我々のふところに飛び込んでくるとはいい度胸だ!」
「大河内学長とこの顔のキズのカリ・・・・きっちりと返してやる・・・・」
「Kめ・・・・きさまの頭に風穴をあけてくれるわ!!」

とカリを返すどころか殺す気満々で銃を舐めながら喜んでいる真性のサドです。

以下、次回に続く。

切断四肢再接合術はもちろん保険適用手術です。
腕や足は144,680点なので、1,446,800円 三割負担なら434,040円です。

保険点数の計算法は点数×10円×負担割合ですので、

144,680×10×30%=434,040

となります。
しかし面倒なので、医療事務の現場では

144,680×3=434,040

と計算するのが普通のようです。

高額療養費制度が利用できますので、実際の負担額はかなり抑えられます。
高額療養費給付を受けるには自己負担額を一度払わなければなりませんが、その金を用意できない場合は後ほど還付される高額療養費を担保として融資を受けられる貸付制度初めから還付額を見越した自己負担限度額のみの支払いにする委任払制度が利用できる場合もあります。

四肢切断の応急処置

事故などで四肢切断が起こった場合、損傷した部分からの出血が酷い場合はきれいな布などで止血の為に切断面を強く圧迫して止血を試みます。

紐などで縛って止血を試みるのは動脈出血を止められない上に、うっ血させる事で静脈出血を増やしてしまうので、推奨されません。

出血を少なくする為に、腕や足の根元を縛るという俗説がありますが、傷口の上部を縛るのは毒蛇に噛まれた時の応急処置であり、混同されたもののようです。

止血の際は傷口を押さえるのが基本です。
切断以外のケガではあまり強く押さえては痛い上に止血効果がありませんので、優しく抑えて止血を図りましょう
強く押さえすぎると傷口に集まった血小板の効果が弱くなりますので、注意すべき事です。

採血の際に静脈を浮き出させる為に縛ったりしますが、それと同じ理屈で、縛るとうっ血して縛られた血管内の血圧が上がってしまい、止血の為に集まった血小板も流されてしまうのです。

切断面が綺麗に切れていて、再接合手術が出来そうな場合は切断された四肢をビニール袋のような水を通さない袋に入れて、氷を浮かべた水で冷やしながらすぐに病院に運びましょう。

直接水に入れたり、氷だけで冷やすのは組織の壊死や雑菌の感染などの恐れがありますので、絶対にしてはいけません。


泥や砂が付いている場合は感染症で接合が不可能になる恐れがありますので、水道水で洗い流して運ぶのがベストです。
ただし、石鹸を使ったり切断面をこすってはいけません。

当然ながら、切断四肢には血液が通いませんので、切れた瞬間から細胞の壊死が始まります。
四肢の保存状態にもよりますが、切断から6時間から12時間以内なら接合が可能と言われています。
12時間以上経ってから接合に成功した例もありますが、なるべく早く接合した方が成功率が高いのは言うまでもありません。

posted by しりうすぅ at 22:24| Comment(0) | スーパードクターK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月04日

スーパードクターK 真船一雄 第1巻 カルテ5◆心臓を狙われた男A

手術室にて前回からの続き。

心臓手術なので、まずは開胸からです。

「よし・・・・胸骨開創器!」と手際よく手術は始まります。

元主治医も別室でモニターを見ながら、

「ウ・・ム すごい・・・・うわさにたがわず信じられない程のメスさばきだ・・・・」

「たばこ」を吸いながら感心しています。

まだ肝心の心臓にすら手が届いていないのに、何が分かるのかと思う人もいるかもしれませんが、術者の腕前はその準備段階で分かると言われています。

「皮膚切開を見れば腕が分かる」というベテラン医師も実際にいます。
皮膚の厚みは数ミリですが、うまく切れば血があまりでませんし、綺麗に切れれば縫合した時に綺麗に治りますので、あながちバカにはできません。

Kには「たばこ」を吸う医師がよく出てきますが、今でこそ院内禁煙も当たり前ですが、この時代では医師の意識レベルにもそんなもんだったという時代背景が見えます。

そして、いよいよ心臓が見えます。
高品も心臓は専門外ではありますが、

「これ程の重度の冠状動脈疾患でこの高齢では・・・・移植しか助かる道はないだろうか・・・・」

と心臓移植に半ば納得の様子です。

しかし・・・・

Kはこの手術が別室でモニターされてる事は当然知っていますので、高品にカメラの前に立たせて術野を隠します。

そして、第二モニターのカメラも無影灯で邪魔をさせて隠します。

これで何をやっているかは手術室内の人間にしかわかりません。

さてKは何をやろうとしているのか・・・・

橋爪も「くさいぞ・・・・あの医者何を考えてる・・・・」と不信感を露にします。

高品はというと

「やっぱり この人はただ者じゃない!」と感心するだけです。

そして、無事に手術は終了。

大河内老人の心拍も安定し、元主治医も心電図を見て手術の成功を確信します。

桑田青年も心臓を取り出されてしまったので、心拍、脳波ともにフラットで「もうただの屍体だ」とKも断言します。

元主治医もそれを確認し、三千万をKに渡すのでした。

Kは「その屍体は引き取りたいのだが・・・・」と言い、橋爪もその桑田には用なしなのでご自由にと快諾します。

「ただし!表沙汰にならぬように・・」と念を押して。



実は、まだ桑田青年は生きていたのでした。

最低限の医療機器を積んだ車にて寺沢病院に運ばれていきます。

Kは脳波がまだあるので、桑田青年を助ける事を諦めていません。

脳内血腫の除去を急いで始めます。

スタッフの準備も整っていたので、高品がKから電話で話を聞いていた時から準備していたのでしょう。

Kは躊躇無く、脳外科手術を行っていますが、診療科目が細分化した現在では、専門外の箇所を切れる技術を持った外科医というのは少なくなっています。
ましてや脳外科手術は命に直結する部位の手術ですので高度な技術を要します。

高品も「最も複雑な脳外科の技術ももっているとは・・・・」と驚きを隠せません。

Kは全身を診て診断と治療ができる「全身科医」だったのです。

「ジェネラリスト」とも呼ばれては居ますが、日本ではあまりいない医師です。

開業医の医師であれば、多少の専門外の部位を診たり治療したりする事もままありますが、完璧ではありませんので、そのような技術を会得するのは通常の勤務医や開業医には実質無理と言えます。

そして、三ヵ月後、

深夜の往診を大河内邸にて行うK。

大河内老人も回復ぶりを非常に喜んでいる様子です。

「なにせ二十歳の若者の心臓が入ってるんですからなぁ!」

と自分が心臓医移植を受けた事を微塵も疑ってはいません。

そして、

「ようやくこれで職務にもどれる・・・・大河内復活じゃて!」

と野心を露にします。

「いやあ三ヶ月の間お世話になりましたな そちらの助手の方にもこの大河内・・・・礼を言いますぞ!」

一応の礼儀はあるようです

最後の往診日まで、いつもマスクをかけていたのが不思議だったのか、助手の顔を見たいと言い出します。

そして、帽子とマスクを取り顔を見せる助手・・・

それを診て大河内老人は絶叫します。

「お前は・・・・死んだはずの桑田・・・・!?」
「そんなバカな・・・・お前が生きているはずはない・・・・」
「お前の心臓は・・ワシの体の中にあるはずだあ――!!」

自分に心臓を提供する為に死んだと思っていた者が目の前にいるのですから、その恐怖は半端ではありません。

助手であった桑田青年も大河内老人の手を自分の胸に当てさせて心臓の音を感じさせます。

それが、トドメとなり、大河内老人の心臓は停止してしまうのでした。

橋爪がその騒動を聞きつけて確かめますが、心臓は確実に停止しており、死亡確認完了です。

橋爪も手術後に心電図を確認していましたので、桑田青年が生きている事を不思議に思います。

Kはその種明かしにゴムシートを見せて絶縁体のゴムシートを心電図の吸盤に挟んでモニターに心拍が伝わらないようにしていた事を明かします。

針金も用意させていましたが、傷口の偽装にでも使ったのでしょう。

橋爪はそのチャチなトリックに騙されていた事と三千万もの大金を取られた事で銃を取り出しKを殺そうとします・・・

それをKは足で払いのけて、

「きさまぁいったい何者なんだ・・・・!」という問いに

「オレは・・・・医者だ!!」
と言いながら橋爪の顎を殴り砕き、
「人間を治す医者だ!人の生き血をすするケダモノ以下のクズ共は・・・・オレの専門外だ!!」
と吐き捨てます。

そうです、心臓が止まったとはいえ、すぐに処置をすれば助ける事は充分にできたはずなのです。
しかし、救命処置をしなかった理由がそこにあったのでした。

そうして大河内邸を去った後で、Kは桑田青年に

「ここに三千万ある クズ共の汚れた金だが人生をやり直すにはたりるだろう」

と言って、報酬として受け取った金を全額渡すのでした。

結局この手術と治療ではKは一円の報酬も得ていません。
かろうじて桑田青年を手術した事での報酬はあったと思われますが、それは寺沢病院の保険適用の正規の手術料であり、三千万に比べたら端金ですねぇ・・・

大河内老人は変死扱いにでもなったのか、解剖に回されます。

Kが治療に携わっていた事も大河内老人が手術を受けた事も表沙汰には一切なっていませんので、解剖に回されたのは当然だったのかもしれません。

元主治医も解剖に立ち会っていますが、冠状動脈疾患で死んだのではなく、ショック死という検案に疑問を持ちます。

監察医のみたてでは冠状動脈疾患はきれいに治っているという診断です。

Kはこの老人の心臓をきちんと治していたのでした。
しかも、心臓を動かしたままのバイパス手術という高難度の技術によって。

「大河内老人の苦悶の表情をみて、よっぽど恐ろしい思いをしたんだろうな」

「さあ・・・・幽霊でも見たのかもしれんよ」

という監察医と元主治医の会話で終了です。


心臓移植と心臓を狙われた青年という現代でもありそうなストーリーではありますが、よくみると、他の素人はともかく、元主治医があっさり騙されすぎているのが目に付きます。

心臓を取り出す際は胸の中心を切開し、胸骨をノコギリで切断して心臓にアプローチする訳ですが、移植される側も同じような切開を必要とします。

しかし、手術痕は肋骨を開く際に出来る左胸にしかありません。

これでは心臓を無事に取り出すのはかなり面倒なはずです。

大河内老人は人工血管で冠状動脈バイパス手術を受けていた事が解剖で明らかになっていますが、冠状動脈のバイパスに使える人工血管はこの当時はもちろん、現在でも研究段階であり、実用化には至っていません。

現在Kが手術するのであれば、胸の内側にある内胸動脈を使ってバイパス手術を行っていた可能性もあります。

バイパス術に用いられる血管は内胸動脈、橈骨動脈、右胃大網動脈、大伏在静脈が一般的ですが、取れる血管の数は限られている為、再手術の際には血管の確保が難しくなる場合もあり、人工血管の開発が急がれているのですが・・・

このようにたまに超技術とも言えるようなものが出てきますが、物語の核心には影響ありませんので、スルーしましょう。

posted by しりうすぅ at 12:40| Comment(0) | スーパードクターK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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